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バイラテラル制御

バイラテラル制御[1] とは、ひと言で言うと「モータを使って触覚を伝送する技術」です。

人が与える作用力と、物体から返ってる反作用力をそれぞれモータ(またはセンサ)で測定できるようにしておきます。

その上で、測定した作用力を物体側へ、反作用力を人側へ送り、各モータで出力します。

ざっくり言うと、このようにして触覚をモータ間で伝達する事ができます。

(厳密にはモード空間での制御が必要ですが、ここでは簡単にイメージのみ説明します。)

バイラテラル制御の面白いところは、触覚情報が、文字通り「情報」になっているため、簡単に加工する事ができるところです。

〈遠隔操作〉

触覚情報を遠隔地に伝送すれば、遠隔操作が可能になります。

〈スケーリング〉

人の力を増幅すれば、テコの原理を扱うように、大きな力で物体を操作する事ができます。

逆に、人の力を減少させて伝えれば、微細で繊細な物体を安全に取り扱うことができます。

〈保存・再現〉

人の与えた作用力をデータとして保存しておけば、CDに音楽を保存して再生するかのように、人間の動作を再現できます。

このように、バイラテラル制御を用いれば、モータを利用したアプリケーションの幅が広がります。

[1] W. Iida and K. Ohnishi, “Reproducibility and operationality in bilateral teleoperation,” The 8th IEEE International Workshop on Advanced Motion Control, 2004. AMC ’04., 2004, pp. 217-222, doi: 10.1109/AMC.2004.1297669.

https://ieeexplore.ieee.org/document/1297669

クロソイド曲線

ここでは、クロソイド曲線の紹介をします。

クロソイド曲線は「曲率の変化」が一定な曲線のことです。
曲率 (curvature) とは、曲線の曲がり具合を示す値であり、曲率を一定にしたまま線を伸ばしていくと円になります。その円の半径を「曲率半径」といい、曲率の逆数になります。

円の曲線の長さ\(q\)と接線ベクトルの角度\(\phi\)の関係を式に表すと以下になります。
$$ \phi=\phi_0+c_1 q $$
\(\phi_0\)は接線ベクトルの角度の初期値です。
ここで曲率\(c_v\)は、\(\phi\)を\(q\)で微分した値であり、円の場合は、
$$ c_v=c_1 = const. $$
となることが分かります。

曲率を曲線の長さに対して一定に変化させていったものがクロソイドで、その曲線の長さ\(q\)と接線ベクトルの角度\(\phi\)の関係は下記になります。
$$ \phi=\phi_0+c_1 q + c_2 q^2$$

円の場合と同様に、\(\phi\)を\(q\)で微分すると、
$$ c_v=c_1 + \frac{1}{2}c_2 q$$
となり、曲線の長さに対して一定の割合で変化していることが分かります。


ここで、わかりやすい例として、車で考えてみたいと思います。
曲線を車の通った道だとすると、曲率はハンドルの傾き(回した量)と同じになります。
ハンドルを一定の傾きで固定した状態で走れば、車の通る道は円を描きます。

車が走った距離に応じて、ハンドルを一定の速度で回していったときに車の通った道が描く曲線がクロソイドになります。

ハンドルを急に切る必要がないため、高速道路の出入り口の曲線の設計などに用いられているそうです。

クロソイド曲線に関して、詳しくはこちらの論文に記載しています。

I. Takeuchi and S. Katsura, “Interpolation of a Clothoid Curve Based on Iterative True-Value Prediction Considering the Discretization Error,” in IEEE Transactions on Industrial Informatics, vol. 14, no. 11, pp. 5156-5166, Nov. 2018, doi: 10.1109/TII.2018.2797925.

https://ieeexplore.ieee.org/document/8269384