PLC入門|ラダー図の基本と自己保持回路の読み方【三菱電機PLC】

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【PLC入門講座 第1回】三菱電機PLCで学ぶラダー図の基本|自己保持回路が読めるようになる第一歩

はじめに

製造業の現場では今、深刻なPLC技術者不足が課題になっています。設備の老朽化に伴う更新需要、DX推進による自動化ニーズの高まりに対して、ラダー図を読み書きできる人材の供給が追いついていません。 生成AIによる自動コーディングも、PLCのラダー言語に対応するのはもう少し先の話になりそうです。 一方で、電気系の基礎知識さえあれば、PLCとラダー図の考え方自体はそれほど難しいものではありません。

このシリーズでは、三菱電機のPLC(GX Works3)を題材に、ラダー図の基本を1つずつ解説していきます。第1回となる今回は、ラダー図を読む上で最初の壁となる 「自己保持回路」 を理解することをゴールにします。

対象読者:電気系の基礎知識はあるが、PLC・ラダー図は未経験という社会人の方


PLCとラダー図とは

PLC(Programmable Logic Controller)は、工場の設備やラインの動作を制御するための装置です。PLCが普及する以前、電気制御は主にリレー(電磁継電器)を組み合わせた「リレーシーケンス制御」で構成されていました。

ラダー図は、このリレーシーケンス回路の見た目を模したプログラム言語です。縦の2本の線(母線)の間に、はしご(ラダー)のように横方向の回路(ラダー図では「行」や「ライン」と呼ばれる)を並べて記述することから、この名前が付いています。

三菱電機のPLCは国内シェアが高く、企業によっては仕様として三菱電機製PLCを指定するケースもあるほど広く使われています。プログラム作成には専用ソフト「GX Works3」を使用します。


ラダー図の基本要素

ラダー図を構成する要素は、大きく分けて「接点」と「コイル」の2種類です。

記号 名称 意味
─┤ ├─ a接点(ノーマルオープン) 入力がONのとき通電する(リレーの「a接点」に相当)
─┤/├─ b接点(ノーマルクローズ) 入力がOFFのとき通電する
─( )─ コイル(出力) 左側が通電すればONになる出力

ここで最初につまずきやすいポイントがあります。ラダー図は「電気配線図」ではなく、「論理(ロジック)」を表現した図だということです。実際にPLC内部を電流が流れているわけではなく、「この条件が成立すればこの出力をONにする」という論理関係を、リレー回路に見立てて表現しているに過ぎません。この視点の転換ができると、その後の理解が一気に進みます。


実際にラダー図を読んでみる:自己保持回路

PLC入門で必ず出てくる回路が「自己保持回路」です。スタートボタンを離しても出力がONの状態を保ち続ける、という制御を実現します。

やりたいこと:スタートボタン(X0)を押すと出力(Y0)がONになり、ボタンを離してもONを維持する。ストップボタン(X1)を押すとOFFになる。

PLCの自己保持回路の説明図

ニーモニック(命令リスト)で書くと、以下のようになります。

LD  X0     ; X0(スタートボタン)を読み込む
OR  Y0     ; Y0自身の接点をORで並列に入れる(自己保持)
ANI X1     ; X1(ストップボタン)のb接点をAND
OUT Y0     ; 結果をY0に出力する

なぜY0の接点を並列に入れるのか

ここが自己保持回路の核心です。X0(スタートボタン)の接点だけでは、ボタンを離した瞬間にX0がOFFに戻り、Y0もOFFになってしまいます。

そこで、Y0自身のa接点をX0と並列に配置します。こうすることで、一度Y0がONになった後は、X0がOFFに戻ってもY0自身の接点を通じて回路が保たれ続けます。つまり「Y0がONの状態を、Y0自身が保持する」という自己参照的な構造になっているのが自己保持回路です。

この状態を解除するのがX1(ストップボタン)です。X1はb接点(ノーマルクローズ)として配置しているため、ストップボタンが押されるとこの行全体が非通電となり、Y0がOFFになります。


GX Works3で試してみる

GX Works3では、実機がなくても「GXシミュレータ」機能を使ってプログラムの動作を画面上で確認できます。X0・X1のスイッチをクリックしてON/OFFさせながら、Y0が保持される様子を実際に目で確認できるので、初めての方はまずシミュレータ上で試してみることをおすすめします。

(※GX Works3の入手方法・ライセンス形態は変更される場合があるため、三菱電機の公式サイトで最新情報をご確認ください)


まとめ

  • PLCのラダー図は「電気配線図」ではなく「論理」を表現したもの
  • 自己保持回路は、出力(Y0)自身の接点を並列に入れることで、入力が離れても状態を保持する仕組み
  • ストップ入力にはb接点を使い、回路全体を遮断することでOFFにする

自己保持回路が理解できると、その後のタイマー・カウンタ命令や、インターロック回路(誤動作防止の仕組み)の理解もスムーズになります。

次回予告:第2回では、タイマー命令・カウンタ命令を使った回路の作り方を解説します。


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